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2010年3月15日更新
この本が好き!

この本が好き! 第40回
31年をかけて完成した自然と人の物語
『川は生きている』
(児童局 A)

はじめまして。児童局のAといいます。
10年前まで、はやみねかおる先生の
「名探偵夢水清志郎」シリーズや
松原秀行先生の「パスワード」シリーズを
担当させていただきました。
両先生を担当させていただいて、大変幸せでしたし、
当時はお酒ばかり飲んでいて、
いまとなっては楽しい思い出ばかりです。
現在は、青い鳥文庫の隣の児童図書第一出版部で、
書類のハンコ押しばかりしています。

僕が紹介したい読みものは、富山和子先生が著した
『川は生きている』というノンフィクションの本です。
いま、青い鳥文庫にもおさめられておりますが、
最初はいまから32年も前の1978年(昭和53年)に
ハードカバーで刊行されました。
このハードカバーの本は、いまでも
書店で買うことができます。

*       *       *

そのころは、エコロジーとか地球環境などと、
まだ世間やマスコミであまりとりざたされていない
時代でした。
しかし、この本で川への関心が高まり、川をきれいに
する運動もじょじょにさかんになっていきます。

そして著者の富山先生は、川、すなわち水の原点は
土にあり、その土を形成する唯一のものが
森であると展開しています。

つづいて富山先生は、自然の循環・連関性を説くために、
続刊の『道は生きている』、『森は生きている』、
さらには『お米は生きている』を刊行して行きます。
そしてついに、2009年9月に『海は生きている』を刊行して、
「生きているシリーズ5部作」を完結されました。

なんと、『川は生きている』が刊行されてから、
31年もの年月がついやされたのです。

*       *       *

『川は生きている』の中で興味深い点は、
戦国武将の武田信玄や加藤清正が
支配下の土地や人民の生活を守るために、
堤防をきずくことに力をそそいだことです。

信玄がきずいた堤(つつみ)は「信玄堤」と命名され、
いまもその一部が残っているそうです。
徳川家康も、利根川の水が氾濫(はんらん)しないように
治水(ちすい)工事を行ったという記述が見られます。

この作品を読むことで、川が人々の生活にいかに重要か、
そして、川は、道、森、お米、海、各々と
どれほど深い関係にあるかが、
きわめてわかりやすく書かれています。

10数年前にわたしが児童局所属になって
初めて読んだ本ですが、
著者の先を見通す能力には
感心したものです。

(児童局 A)

『川は生きている ―自然と人間―』
富山和子/著
津田光郎/絵
講談社 青い鳥文庫

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