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獣の奏者スペシャルページ

『獣の奏者』探求編・完結編発売記念!上橋菜穂子×武本糸会スペシャルトーク!<番外編>
コミック版『獣の奏者』が連載されている「少年シリウス」10月号に掲載された上橋 ×武本対談の番外編を特別にお届けします。
お二人ならではの創作こぼれ話を、ぜひお楽しみください!


上橋菜穂子先生から続編刊行についてメッセージをいただきました

『獣の奏者』は、<I 闘蛇編><II 王獣編>で完結した物語でした。

<II 王獣編>のあとがきに書いたように、あの物語は、獣(遠い他者)に向かって、ひたすらに思いを伝えようとする人の姿を描いたもので、その結末としては、あれがすべてだと感じていたからです。その思いは、いまも変わっていません。

ただ、敬愛する作家の佐藤多佳子さんが、「もっと読みたい……。この完璧な物語の完璧さが損なわれてもいいから」と書いてくださっているのを読んだとき、そうか、そんなふうに思っていただけるほど、エリンたちは「生きて」いるのだなと、とてもうれしかったのと同時に、なるほど、続きが読みたいと言ってくださる読者たちは、エリンのその後が知りたいのだろうなと気がつき、「エリンのその後」を書いてみようか、と、少しだけ気持ちが動いたのでした。

それでも続編をなかなか書けなかったのは、私にとっては、あの物語は、きれいな球体のように閉じた物語だというイメージがあって、その後に何かをくっつけた感じにはしたくなかったからなのです。

ところが、です。

2007年の夏にアニメ化の話が舞いこんできて、もう一度『獣の奏者』を読みなおしながら、監督たちと「物語の解体作業」を行ったとき、脳髄を直撃するような「発見」があり(自分で書いた物語なのに、読み直してみて気づくところが変かもしれませんが)、それに気づいたとたん、この世界の「歴史」のようなものが、心に浮かびあがってきたのです。

エリンという<獣の奏者>へと続いてきた道と、その先に続いていく道。人という生き物の群れの、滔々たる流れのようなものが見えた瞬間、これを書きたい、と思ったのでした。

エリンが私の中で再び呼吸しはじめたとき、生意気なチビすけ、ジェシが心の中に生まれでて、一気に物語が立ちあがっていきました。

<I 闘蛇編><II 王獣編>が「人と獣」の物語であるとすれば、<III 探求編><IV 完結編>は、「人々と獣たちの歴史の物語」なのかもしれません。

今度こそ、この物語は完結しました。でも、流れている大河の音は、いまもわたしの耳の底に響いています。

あとがきより
上橋菜穂子


上橋菜穂子先生からアニメ化についてのメッセージをいただきました
「21世紀の名作アニメ」

 先日、NHKで『獣の奏者エリン』の記者発表が行なわれました。
 立ち見が出るほどたくさんの記者さんたちが来てくださっていた会場の、大きなスクリーンで、第一回の放映を見たのですが、スキマスイッチが歌う「雫」(これが名曲!!)とともに動いていくオープニングの映像を見ているだけでもう、ぎゅっと胸をしめつけられてしまいました。
 デザイン化された絵本のような色彩の映像と、リアルな母娘のうごき、そして、光を弾いて天を舞う王獣……!  このオープニング(そして、Cossamiが唄う可愛い歌とともに動くエンディング)には、『獣の奏者エリン』というアニメをどう創ろうとしているか、その心意気がよく表われていて、私は本当に好きです。

 記者会見で私は、このアニメを「21世紀のハイジ」を目指したと言いましたけれど、その言葉の裏には、けっこう、さまざまな思いがこめられているのです。

 『獣の奏者』を読んでくださった方なら、この物語が、どれほどハードで、厳しいものを秘めているか、ご存知だと思います。
 その一方で、『獣の奏者』は、重く厳しいだけの話ではなくて、陽だまりの花畑のような明るさと、のんびりとした暮らしの匂いもある物語です。
 しかも、主人公は10歳から14歳、そして大人へと成長していきます。

 明るさと重さ、単純さと複雑さ、子どもの物語と大人の物語……そんなニ面性をもっているこの物語を、両方を大切にしながら、しかも、子どもにも楽しんでもらえるアニメにするには、いったい、どうしたらいいのだろう?
 それを、浜名監督や藤咲さんたちと話し合って、出た答えが、「21世紀の名作アニメ」だったのです。

 「名作アニメ」って、なんでしょう?  私は、それを「日々を暮らしていく子どもたちの目から見える世界を、たんねんに描いたアニメ」じゃないかな、と思っています。
 ハイジ、ムーミン(あれも、一応、トロールの子ども?)、マルコ、ラスカル、コナン、宝島、そして、ホルス……私が子どもの頃に愛していた「名作アニメ」はみんな、子どもの目から、世界が描かれていました。

 だからといって、単純だったなんてことはなくて、実に豊かで、わくわくするような、波乱万丈の物語が展開していくわけですが、それでも、「視線」がちゃんと主人公の目から描かれていたので、子どもの私でも、ドラマがどんなに複雑になっても、手に汗握りながら、ついていけたのです。

 よーし、これだ! ということになって、まず始めたのが物語の解体作業(笑)でした。10歳の頃のエリンにとって、お母さんとの暮らしや、闘蛇や、ほかの大人たちがどう見えたのか、ひとつひとつ丹念に物語にして描いていけば、きっと、子どもたちも、エリンの気もちになって追いかけてくれる。
 そうやって描いていけば、エリンが14歳になっても、19歳になっても、物語が、どんどん複雑になっていっても、子どもたちが置いてけぼりになることはないでしょう。

 もうひとつ、ドーンと出されたアイディアが、「表現」でした。
 花畑の中に立つ少女エリン――キャラデザをしてくださった後藤さんの魅力全開の、あの絵を見たとき、私は、ああ、これでもう大丈夫だ、と思いました。
あの絵の、のんびりとしたふくよかさ、絵本のような良い意味での単純さは、私の物語がもっているシビアな重さを「胸を貫く冷たい刃」ではなく、「胸をしめつける深さ」に変えてくれたからです。

子どもの頃に出会って、愛したアニメは、大人になっても、心の底に陽だまりのように輝きつづけます。そういうアニメになってくれればいいと願いながら、いまも、作業は、忙しく続いています(笑)

 「20世紀の名作アニメ」ではなく、21世紀の新しい何かを秘めたこのアニメ、50回の長丁場ですが、大河ドラマを楽しむように、楽しんでいただけたらうれしいです!

上橋菜穂子


アニメ『獣の奏者 エリン』の特別番組が放送されます!

©上橋菜穂子・講談社/NHK・NEP

アニメ「獣の奏者 エリン」の制作発表が行われました

傑作ファンタジー『獣の奏者』を原作とした、アニメ「獣の奏者 エリン」(NHK教育テレビにて放送予定)の制作発表が、2008年12月11日、NHK放送センターにて行われました!
会場には、原作者の上橋菜穂子先生をはじめ、主人公のエリンを演じる女優の星井七瀬さんら主要スタッフが登場、制作秘話などが語られました。上橋先生からは、「盆と正月とクリスマスと誕生日が一緒に来たみたいな気持ちです。最近は漫画原作のアニメが多いですが、昔は『ムーミン』や『ハイジ』といった本が原作のものも多かったと思います。この作品も21世紀のハイジのような作品になってほしいです。」と笑みがこぼれました。

テレビアニメ「獣の奏者 エリン」の制作発表にて
左から、監督の浜名孝行さん、原作者の上橋菜穂子さん、エリン役の星井七瀬さん、キャラクターデザインの 後藤隆幸さん、シリーズ構成の藤咲淳一さん。

オープニングテーマは、スキマスイッチの新曲「雫」(しずく)、エンディングテーマは、新人アーティストcossami(コッサミ)が担当。

NHK教育『2009アニメ先どりスペシャル』にて上橋先生インタビューを放送決定!

放送を前に、『獣の奏者 エリン』の魅力や見どころを、徹底的に紹介する特集番組が放送されます!
上橋先生のインタビューも、この番組にて放送される予定です。どうぞお見逃しなく!

放送は終了いたしました。


『獣の奏者』アニメ化決定!

『獣の奏者』エリン

アニメ「獣の奏者エリン」 詳細情報

平成21年1月10日〜放送中 (全50回)
NHK教育テレビ 毎週土曜 午後6時25分〜午後6時50分

【再放送】
平成21年4月4日〜放送予定 (全50回)
NHK教育テレビ 毎週土曜 午後11時〜午後11時25分

獣と少女が織りなす巨編ファンタジー。
決して人と心が通じないと思われていた崇高な獣『王獣』を操ることができる類まれな才能を持ち合わせた少女・エリン。彼女は、その才能を持つ故に、王国の勢力争い に巻き込まれ、波瀾万丈の人生を送るこ とになる…。
日本を代表するファンタジー 作家・上橋菜穂子の『獣の奏者』をアニメ化。

【スタッフ】
原作:上橋菜穂子
監督:浜名孝行(「テニスの王子様」「図書館戦争」)
キャラクターデザイン:後藤隆幸(「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」「精霊の守 り人」)
シリーズ構成:藤咲淳一(「BLOOD+」「RD潜脳調査室」)
音楽:坂本昌之(平原綾香『Jupiter』で第46回日本レコード大賞<編曲賞>を受賞)
アニメーション会社:プロダクションI.G(「イノセンス」「スカイ・クロラTheSky Crawlers」)
          トランス・アーツ(「テニスの王子様」「バンパイヤン・キッズ」)

【キャスト】
エリン:星井七瀬

© 上橋菜穂子・講談社/NHK・NEP


上橋菜穂子先生からメッセージをいただきました!!  
 びょうびょうと風が吹く真っ暗な夜の崖の上に、ひとりの女が立っていて、一心に竪琴を奏でている。いったい誰にきかせているのか、目をこらしてみると、向かい側の崖の中腹に、いくつもの光が見える。――獣の目だ。大きな大きな獣が、あそこにうずくまって、竪琴の音を聞いているのだ……。  

 こんな光景がいきなり頭に浮かんできて、生まれたのが『獣の奏者』という物語でした。  

 決して人に馴れぬと考えられてきた巨大な獣と、心を通わせるすべを見つけてしまった娘の物語は、書き始めるや、あっという間に広がっていって、気がつくと上下二巻もの分厚い物語になっていました。  

 こんな分厚い物語を手にとってくださる読者がいるのだろうか、と不安に思っていたのですが、ありがたいことに出版されるや、多くの方々が手にとってくださって、いく度も重版を重ねて、今に至っています。  

 親本(ハードカバーの本)は、大人が手にとっても違和感がないように、漢字が多く、挿画もない形にしたのですが、今度、この本が、子どもたちにも、より親しみやすい「青い鳥文庫」の形でも出版されることになりました。その上、表紙と挿絵を描いてくださった武本糸会さんが、この物語をマンガにして、『月刊少年シリウス』で連載することにもなり、なんだか、一気に枝が伸び、青い葉が芽吹いていくのを見ているようで、わくわくしています。  

 もともと、ひとつの生々しい光景から生まれた物語ですから、味のある武本さんの筆でマンガとして描かれたら、きっと魅力的な作品になるに違いありません。  

 ひとつの物語から勢い良く芽吹いていく若葉たちが、この物語をどんな姿の大木にしてくれるか、見守っていただければうれしいです。
上橋菜穂子


読者の皆さまからも熱いメッセージが届いています!!  

読み終わった途端、号泣してしまいました。とにかく震えと涙が止まりませんでした。(22歳・女性)

年齢・世代をとわず、いつの時代にも、すべての人に受け入れられ愛される本だと想います。ひとつの教訓書、未来の警戒書のような印象をうけました。(39歳・男性)

とても途中でおいておくことができなくて、一気に読んでしまいました。登場人物のみながそれぞれの生き方で幸せに生きてくれるよう、いのらずにはいられない、そんな想いでいっぱいです。(45歳・女性)

異なる世界の出来事を描いていながら、しっかりと社会制度、政治、経済のしくみがくみたてられているので、大人でも十分よめるものだと思います。また若い人たちには、社会のあり方とか、自分はどう生きたいのかを考えさせられる出発点に立たせるものだなあと思いました。(44歳・女性)

予想していなかった展開や、徐々にわかってくる秘密や過去にどきどきし、また緊張しました。(16歳・女性)

草の香りがし、湖の匂いがし、山々のつらなりが見え、学舎が想像できました。エリンの姿も。一気に読み終え、本当に本の中を旅していた感じがしました。自然の中の人間の小ささを考えさせられました。(43歳・女性)

小5の娘と一緒に親子で楽しんで読みました。読後も感想を言いあい、意見交換をしました。生きてゆく上での孤独、自立責任のありか、存在のしかたに強く胸をうたれました。(38歳・女性)

思慮深く、勇敢な少女・エリンの生き様は、なぜこんなにも私の胸の奥を揺さぶるのでしょうか。思考錯誤を繰り返しながら、王獣・リランを育てていく姿は、時にほほえましく、時に壮絶であり、この先に待ち受けている運命を想像しながら頁をめくる、手と心が震えるのを押さえられませんでした。(23歳・女性)


イラスト獣の奏者

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