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走れUMI
『走れUMI』
著者:篠原勝之
定価:1,365円(税込)
モンゴルの草原のど真ん中に巨大な鉄のオブジェを建てに遠征したことがある。羊や馬の脚以外に大草原で垂直に立っているモノを見たことがない現地の子どもたちは、吹きだす汗がたちまち塩になるスキンヘッドのオレが、鉄と格闘している様子を不思議そうな顔で遠巻きに眺めていた。
何日かしてひとりの少年が恐る恐る近づいて来たので、オレは身振り手振りで水が飲みたいと言うと、彼は引き返すや家からヤカンとコップを持って戻ってきた。すぐ後ろにはニコニコした子どもたちがうようよ湧いていた。やがて小さな男の子がオレの身体をよじ登り始めた。
オレは子どもの扱いなど慣れてないから、子どもたち囲まれて途方に暮れていた。
「オー」と叫びながら両手を掴んで一人ずつ振り回していた。子どもたちはきゃっきゃと、これまで出会ったことのない大人に全身でぶつかってきた。
児童小説を書くのは初めてだったけれど、いまだ見ぬ大人に遭うような物語が書きたいと思った。オレは子どもだからといって容赦はしないけど、子どもの直感力や想像力を甘く見たりもしない。(KUMA)
篠原勝之
1942年、札幌市生まれ。鉄の街、室蘭市で少年時代を過ごす。上京後、絵本、舞台美術、小説、エッセイなどで活躍し注目を集める。1986年から鉄を素材に作品をつくりはじめ、以後モニュメントなどのダイナミックな造形を全国各地に生み出している。
著書に『ケンカ道 その"究極の秘技"を探る』(祥伝社)、『蔓草のコクピット』(文藝春秋)ほか多数。
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