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渡る世間は「数字」だらけ 向井万起男インタビュー

面白いニュースの陰に数字あり

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73の数字をめぐるエピソードをまとめた『渡る世間は「数字」だらけ』ですが、そもそもなぜ数字から世の中の事象を見つめてみるというスタイルを取られたのですか?  
向井
何事も「面白いな」と思うことって、数字が関係していることが多いんです。僕はいつもネットのニュースで気になったものを携帯に保存しているんですが、最近だと……これ。「イギリス国防省は50年以上の歴史があるUFOの調査部門を閉鎖した。これにより年間4万4千ポンド、日本円で650万円の歳出削減になったという」って、こんなものどうしてやめるの!?  こんな面白い機関をって思わない?
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たった650万円なら、国の良心として続けて欲しいですね(笑)。イギリスがそんな国だったとはいろいろな意味で目からウロコです。
向井
でしょ? この話も“50年”とか“4万4千ポンド”とか、具体的な数字があるから読み解きやすくなってるんです。
エッセイにも書きましたが、1985年以降宇宙飛行士に選ばれた8人のうち、3人もの宇宙飛行士の近い身内に病理医がいたんです。全国に病理医って2000人しかいないのに、この確率! これも統計という数字から見ると、すごいと思いません?
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確かにただ具体的にエピソードを綴っただけの記事だと印象に残りませんが、「数字」という尺度をあてはめると、途端にビビッドになりますね。
向井
そんなことに気づいたからってなんだ、と言われればそれまでですが、どうも自分の性格上「人のやっていないことをやりたい」という思いが強いみたいです。数字を切り口にしたエッセイもあまり見たことないでしょう? やっぱり僕らの本業の世界ってオリジナリティーが求められますから。

「病理医」向井万起男

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「僕らの本業の世界」とおっしゃいましたが、向井さんのもう一つの顔、大学病院の病理医のお仕事について伺いたいと思います。私たちが病気やケガで病院に行っても、「病理医」の先生にお目にかかることはありませんよね? 
向井
そう、患者さんに直接会わないし、治すこともしません。患者さんの頭からつま先までの細胞を彩ってきてそれを分析し、病名を診断したうえで各科の医師とディスカッションする。要はプロを相手にする医師ですね。
その場合大切なのが高度のコミュニケーション能力です。
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つまりはあらゆる方面の専門医と対等に話せる知識と交渉力が求められる立場なのですね。向井さんが病理医を目指したのはなぜですか?
向井
医学部の4年目に病理学の講義を聴いて、「ドカーン! こんな面白いものがあったのか!?」と。
でもこの仕事はまさに天職ですよ。まずもって顕微鏡を見るのが大好きで、全然飽きない。何時間見てても飽きない。人間関係なんかでムシャクシャしたことがあっても、全部忘れてしまうくらい。細胞ってすごくきれいなんです。
――
まさに天職である病理医のお仕事があって、最初にエッセイを書き始めたきっかけとは何だったのでしょうか?
向井
女房(宇宙飛行士の向井千秋さん)のことが話題になった頃、何社かから「ご主人、本を書きませんか?」という依頼が来たんです。でもどこもゴーストライターつきというのが気に入らなくて、すべてお断りしました。まるで僕の筆力を頭から信用してないみたいじゃないですか。その後アメリカに住んでいる間に、「悔しいし自分で書いてやろうかな」と、特になんのあてもなく書き始めたんです。
それがある程度まとまったときに、中学時代の同級生に紹介されて、講談社に出版の話を持ちかけたんです。で、本になったのが第一作の『君について行こう―女房は宇宙をめざした』だったんですね。
ありがたいことに読者の方から「ぜひ続きが読みたい」という声をたくさんいただいて、『女房が宇宙を飛んだ』も書いちゃったわけです。でも、その頃から「次はこんなのを書きたいな」と温めていたのが、『謎の1セント硬貨―真実は細部に宿る in USA』。

調べ好きのアンテナ

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昨年講談社エッセイ賞を受賞された『謎の1セント硬貨』は、アメリカ中を奥様とドライブ旅行しながら向井さんが謎を解明していくという大著!!
向井
これは今までの本の中で一番疲弊しました。超変化球に見えて実は直球ど真ん中! 僕なりの「アメリカ論」でもあります。

続きはIN★POCKET2月号をご覧ください。

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インタビュー『W――二つの夏』  永嶋恵美

“W”と女性たち

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永嶋さんが1年3ヵ月ぶりに刊行された書き下ろし作品『W――二つの夏』は、線香花火の儚げなカバーが印象的ですね。と同時に、アルファベット一文字のタイトルも目を惹きます。そう思って目次を眺めると、「Without、Where?、Whom?、What?、When?、Why?、Who?、With you」と、“W”で始まる章タイトルが並んでいて、すぐに謎めいた感覚に引き込まれてしまいました。
このタイトルや章立ては、書き始めた当初から想定されていたのですか?
永嶋
これは、携帯メールのやり取りで多用する「今どこにいる?」とか「今何してる?」という文面から採っているんです。
流行の“ツイッター”を眺めていても、さりげない感じでたくさん使われている問いかけだなぁと。書き始めたあるとき、それを横文字にしてタイトルにもってきたら、この作品の輪郭がまとまってきて、バーっと全体像が見えたんですよ。
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副題「二つの夏」からも想像できるように、疑問詞の頭文字としての“W”だけでなく、「二つ、二重の」という意味も含んでいて、とにかく意味深な感じです。
永嶋
主人公ナナミとクニコ、二人の関係の“W”なのか、はたまたセリとの“W”なのか、読み進めていくうちに、いくつもいくつも“W”なものが見つかっていく。この作品はミステリーではないんですが、読者の方々に、謎かけをしているような側面はありますね。最後まで読んでみて、いくつあったでしょう? みたいな(笑)。登場人物の名前だったり二人の母だったり……。あまり挙げるとネタバレになってしまうのでこの辺にしますが、読み手によって気が付く“W”の数にも差が出てきそうです。
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物語の主軸になっている二人の女性について伺いたいと思います。まず大学生のナナミですが、父と二人暮らしをしながら家事をこなし、大学の勉強にもそこそこそつなく取り組んでいる。こんな時代においては、わりと真面目ですね。
永嶋
実は最初からいたキャラクターは、クニコの方なんです。元レディースあがりのヤンキーで、熱く一途な性格のクニコに対比させるなら、不器用で真面目な存在が必要なんじゃないかと思って。それがナナミですね。

“ふつうの人”と“ヤンキー”

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ナナミの父親は、母が再婚した相手で血のつながりがなく、その母と父も今では別居していて、父には愛人らしき女性もいる。家族の関係が希薄ななか、かつて教育実習に来ていた吉岡先生と、密かに不倫めいた関係を続けるところなど、ナナミは真面目な一方で、ズルかったり、自分の見え方に敏感過ぎるような部分もありますね。
永嶋
要は“ふつうの人”なんですね。一般市民的なズルさというか。
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駅前でセリを“拾った”ときの対応も、純粋な善意からというよりはむしろ、少しでもかかわりをもった女の子が事件に巻き込まれたら、自分がどういう目で見られるか分かったものじゃない、という世間体を取り繕うための行動でしたし。
永嶋
ナナミのような真面目なキャラクターが抱える不安や闇を際立たせるためにも、まずはクニコを描いてみたいという欲求がありました。実は私、ヤンキーにはけっこう詳しくて、というのも中学校が地元でも有名な荒れた学校だったんですよね。学校名を聞くと相手が数歩後ずさりするみたいな(笑)。田舎からその学校に転校した私は、恐れるというよりもヤンキーたちが珍しくて、なんだかあちらにも受け入れてもらってましたね。彼女たちって、意外に一途で真面目なんです。社会的な法律や校則は無視するのに、自分たちの世界のルールにはものすごく忠実で、絶対に守る。
――
ヤンキーならではの言葉遣いがリアルなことも含めて、クニコが語る部分からは、本来の人間らしい感情をストレートに感じました。
永嶋
自分の思春期に間近で接した彼女たちの温度が再現されているんでしょうか!?ヤンキー言葉については、ヤンキー雑誌の『チャンプロード』とか、ギャル雑誌の読者投稿ページを参考にしました(笑)。でも、本質的なノリや雰囲気は、私の中学時代と変わっていないので、妙にリアリティーが出せたのかもしれません(笑)。

続きはIN★POCKET2月号をご覧ください。

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