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Vol,16 「最近の子供はサッカーが巧い」 (16 Jan, 2004)

柏レイソルU-11
『柏レイソルイヤーブック』用に撮影されたU-11の選手
  全国高校サッカー選手権・決勝の日、僕は『柏レイソル・イヤーブック』(2月20日発売予定)の取材を兼ねてレイソルU‐11チームの練習試合を見に行きました。Jリーグ開始以降、日本サッカーのレベルはあがったといわれていますが、少なくとも小学生のレベルはとんでもなくあがっていると実感しました。レイソルの子供たちはDFラインから丁寧にパスをつないだり、スペースに走ったりなど、クレバーなサッカーをするという点では、トップチームの10年前以上です。Jリーグ発足前は、読売クラブ(現・ヴェルディ)と日産(現・F・マリノス)以外はスペースにボールを蹴って、いちかばちかの勝負をするだけのような“ひどい”サッカーでしたから。

 また、「反則をしてでも止めろ」というような指示をしない指導者も偉いと思いました。得点シーンだけでなく、試合状況の中で、いわゆる“渋い”プレーを褒める点は、日本サッカーも変わってきたなあと実感しました。80年代後半の日本代表選手のひとりに、「あの頃は、チャレンジする前に“クリアしろ”だったからね。あれじゃあ、勝てるわけがない」といわれたことがあります。その通りです。クリアはセーフティ・ファースト(言い換えれば、無難)という点では失点を防ぎますが、相手へのパスあるいは、自分たちでつなぐチャンスを放棄するという意味でもあります。サッカーに限らないことですが、リスクを冒すことなしに進歩はありません。高校サッカーの全国選手権ですら、未だに“勝つために”クリアをしすぎる印象を持ちました。また、いちかばちかのパスが多い点も問題だと思います。安易なクリアをするDFは巧くなりません。フィジカルで相手をつぶすDFもうまくなりません。苦労してパスをつなごうとするからこそ巧くなるのです。 シドニー五輪での中田浩二
トルシエ前監督時代、シドニー五輪にも出場した中田浩二
例えば見本はジュビロの選手たち、あるいはトルシエ日本代表の頃の中田浩二です。FWにしても、フィジカルで勝っているだけでは、やがて壁にぶつかります。かつて高校サッカーの全国選手権でスターになった選手が何人Jリーグで大成したかを振りかえれば……それが答えだと思います。

 そんなわけで、全国の父兄の皆さん、子供の頃の勝敗はどうでも良いのです。マスコミは国見高校(ストライカーの平山選手を含めて)ばかり大騒ぎしていますが、大事なのは今後です。平山選手には、筑波大学生活を満喫して、ゴン中山、井原、藤田俊哉のような人格的にも抜群な筑波大OBになってもらいたいと僕は思います。

(2004年1月12日 木次)
文=木次成夫
1964年、長野県南佐久郡北相木村生まれ。千葉市在住。上智大学外国語学部イスパニア語学科卒業後、講談社に入社。社員編集を8年間した後、フリーに。スペインとオランダのサッカーが好き。サッカー取材などで40ヵ国以上訪れた旅行好き。集英社発行の『スポルティーバ』でスペイン情報コラム連載中。
写真=山田一仁 井上孝明

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